当社はコーポレート・ガバナンスを企業経営の重要事項と位置付けております。株主をはじめ多様なステークホルダーとの適切な関係を維持し、社会に対する責任を果たしながら事業活動を行うことが、長期的な業績向上や持続的成長の目的達成に最も重要な課題のひとつと考えております。コーポレート・ガバナンスの機能を充実させ、透明性と公正性の高い経営を確立することは当社の重要な基本的責務です。
2016年6月29日開催の第128回定時株主総会における承認を経て、執行役員制度を導入するとともに、過半数を社外取締役で構成する監査等委員会を置く「監査等委員会設置会社」に移行いたしました。
監査等委員会設置会社への移行、並びに執行役員制度の導入の結果、取締役会の監督機能が一層強化され、コーポレート・ガバナンスの向上が図られただけではなく、執行役員がメンバーとなる経営会議によってスピード感をもった業務執行が実現しているものと考えております。
今後も、当社グループの企業価値ひいては株主をはじめとするステークホルダーの利益の長期安定的な向上を図ってまいります。
当社は、社外取締役の機能を活用し、取締役会の監督機能とコーポレート・ガバナンス体制の強化を図るとともに、権限委譲による迅速な意思決定と業務執行により、経営の健全性と効率性を高めることを目的とし、監査等委員会設置会社となっております。
取締役会は、毎月開催するほか、必要に応じ随時開催され、法令及び定款に定められた事項のほか、経営に関わる重要事項の意思決定をする権限がございます。取締役3名(監査等委員である取締役を除く)及び監査等委員である取締役5名(うち社外取締役5名)で構成されており、業務執行上の問題点及び成果が報告され、執行方針を決定するなど重要事項を全て審議することとしております。
監査等委員会は、常勤である社外取締役が委員長・議長となり、4名の非常勤の社外取締役を加えた5名で構成されております。金融機関出身者(海外勤務経験あり)、公認会計士、弁護士(女性)、他社での経営経験者と委員のスキルマトリックスは十分な多様性を確保しております。
指名委員会は、社外取締役5名と社内取締役1名で構成され、常勤の社外取締役が委員長・議長を務めており、公正で客観的な審議ができる体制となっております。委員会では取締役、執行役員の選任・解任についてその適性について書面及び面接での審査を行い、結果を取締役会に答申しております。
報酬委員会は、社外取締役5名と社内取締役1名で構成され、常勤の社外取締役が委員長・議長を務め、公正で客観的な審議を行っております。委員会では役員報酬制度に関する議論や、業績達成状況とその貢献度を踏まえた業績報酬額の決定を行い、結果を取締役会に答申しております。
経営会議は、毎月1回以上開催され、取締役会決定事項の周知・徹底と業務執行上の主要課題の検討を実施しております。執行役員全員で構成されており、必要に応じて審議事項に関する関係者を出席させ、発言させております。また、監査等委員が必要に応じて出席し、発言しております。
コンプライアンス委員会は、コンプライアンスを推進する統括組織として、社長執行役員を委員長、経営管理本部長を副委員長とし、社長執行役員が任命した役員を委員として構成されております。原則として毎年1回開催し、コンプライアンス全般に関する審議及び基本方針の決定を行っております。
リスク管理委員会は、当社の経営にかかる重要リスクについて社長執行役員へ提言するための組織として、経営管理本部長を委員長とし、経営管理本部長が選任した委員で構成されております。毎年2回以上開催し、規定に定めるリスクの洗い出し及び調査を行い、リスクを未然に回避するための対応策の検討、顕在化したリスクに対する対応策を検討しております。
サステナビリティ委員会は、サステナビリティを推進する組織として、社長執行役員及び社長執行役員が指名する者を委員として構成しております。原則として毎年2回以上開催し、社長執行役員が設定したサステナビリティにかかる検討課題について討議し、社長執行役員に対して提言を行っております。
当社の内部監査部門につきましては、内部監査統括部を設置しております。
内部監査統括部は、社長及び監査等委員会とのデュアルレポーティングライン体制のもと、社長直轄の組織としてその指示・命令に従うと同時に、「監査等委員会監査等基準」などに基づき、監査等委員及び監査等委員会による指示・命令に従い緊密に連携することにより、その独立性・専門性を保っております。
内部監査統括部は、「内部監査規定」・「年度監査計画」等に基づき、当社及びグループ子会社に対して業務監査を実施し、その結果を取りまとめた監査報告書を社長・監査等委員会・監査対象の事業運営組織責任者に提出し、監査対象組織に対して指摘事項への回答及び問題点の是正を求め、改善進捗状況を確認しております。
取締役会に対して年2回の総括報告を実施すると共に、監査法人に対しては四半期毎に内部監査結果を共有しております。
また、「内部統制基本規定」に基づき、金融商品取引法が定める財務報告に係る内部統制体制の評価及び評価結果の取締役会への報告を行っております。
監査等委員会、及び監査等委員会・会計監査人・内部監査部門の連携状況
5名の監査等委員である社外取締役で構成する監査等委員会は、内部監査統括部から内部監査や内部統制の状況についてデュアルレポーティングの1ラインとして報告を受けております。また、都度会計監査人より会計監査結果等の報告、及び常勤の監査等委員である取締役より月例監査結果の報告を受け、適宜社外の立場から意見を述べ情報共有を図っております。
当社は会計監査人として、有限責任あずさ監査法人を選任しております。
役職名 |
取締役会 |
監査等委員会 |
指名委員会 |
報酬委員会 |
経営会議 |
コンプライアンス委員会 |
リスク管理委員会 |
サステナビリティ委員会 |
|
高島 幸一 |
代表取締役社長 社長執行役員 |
◎ |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
○ |
||
後藤 俊夫 |
取締役 専務執行役員 |
○ |
○ |
○ |
|||||
山本 明 |
取締役 専務執行役員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
||||
宇治田 明史 |
取締役 監査等委員 |
○ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
|||
桃崎 有治 |
取締役 監査等委員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||
篠 連 |
取締役 監査等委員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||
青木 寧 |
取締役 監査等委員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||
坂本 修一 |
取締役 監査等委員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||
西田 努 |
上席執行役員 |
○ |
○ |
○ |
|||||
佐脇 雅也 |
上席執行役員 |
○ |
○ |
○ |
|||||
山田 健一 |
上席執行役員 |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
||||
德本 貴久 |
執行役員 |
○ |
○ |
○ |
|||||
押川 正裕 |
執行役員 |
○ |
○ |
||||||
田中 仰 |
執行役員 |
○ |
|||||||
小林 学 |
執行役員 |
○ |
|||||||
福岡 英明 |
執行役員 |
○ |
○ |
||||||
高橋 真美 |
執行役員 |
○ |
|||||||
Leung Pik Man |
執行役員 |
○ |
◎は議長、委員長を表します。

取締役の役職や略歴等は、以下よりご覧いただけます。
当社の取締役会が備えるべき分野(経験・知見・能力)とそれぞれの取締役が特に専門性を発揮できる分野を一覧化したスキルマトリックスは次の通りです。なお、社外取締役には他社での経営経験を有する者が含まれています。
役職 |
企業経営 |
営業 事業開発 |
財務 ファイナンス M&A |
マーケティング 企画・IR |
IT デジタル |
人財 労務 組織開発 |
法務 リスクマネジメント 監査 |
グローバル 経験 |
製造 技術 研究開発 |
|
高島 幸一 |
代表取締役社長 社長執行役員 |
● |
● |
● |
● |
|||||
後藤 俊夫 |
取締役 専務執行役員 |
● |
● |
● |
● |
|||||
山本 明 |
取締役 専務執行役員 |
● |
● |
|||||||
宇治田 明史 |
社外取締役 (常勤監査等委員) |
● |
● |
● |
● |
|||||
桃崎 有治 |
社外取締役 (監査等委員) |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
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篠 連 |
社外取締役 (監査等委員) |
● |
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青木 寧 |
社外取締役 (監査等委員) |
● |
● |
● |
● |
|||||
坂本 修一 |
社外取締役 (監査等委員) |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
企業経営
当社は、商社として、多岐にわたる分野で事業を展開しています。経営計画や戦略を議論する際には、全体を俯瞰した上で、企業価値の向上を図るために重要な知識を持っていることが重要だと考えています。
営業・事業開発
営業・事業開発は、収益を生み出す上で欠かせません。当社ならではのオリジナルな発想で社会にアプローチし、企業としての競争力を維持し、市場シェアを拡大する上で不可欠だと考えています。
財務・ファイナンス・M&A
財務・ファイナンス・M&Aは、企業価値を最大化するための戦略を実行するのに不可欠です。財務・ファイナンス・M&Aは、当社の持続的な成長と競争力を支えるための基礎となります。
マーケティング・企画・IR
他者とのコミュニケーションは非常に重要だと考えております。マーケティング・企画・IRは当社が他者と継続的なコミュニケーションを通じて、競争力を維持し、成長を遂げるための源泉です。
IT・デジタル
IT・デジタル技術は、現代のビジネスにおいて非常に重要です。IT技術を活用し、DXを推進することで、当社はデジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを変革し、競争力を高めることを目指すことができると考えています。
人財・労務・組織開発
商社である当社にとって、人財は最大の資産であり、企業の成長と持続可能な成功にとって極めて重要です。当社においても、独自のキャリア型人財の育成を通じ、企業価値向上につなげることが持続的な成長の基礎となります。
法務・リスクマネジメント・監査
法務・リスクマネジメント・監査は、当社が外部からのリスクや不正行為に対して守りを固めるために不可欠です。誠実一筋をモットーとしている当社にとって、投資家や取引先、社会からの信頼を築くためにも、これらの要素は重要と考えています。
グローバル経験
異なる文化や環境での経験は、新しいアイデアや視点を生み出し、企業の競争力を高めることができます。同様に、異なる市場や文化のリスクに対処する能力が高まるため、より正確にリスクを評価し、適切に対処することができると考えております。
製造・技術・研究開発
当社は様々な機能を提供する機能商社として、製品の品質や効率性を高めることは競争力を維持する上で不可欠です。製造・技術・研究開発の要素は、当社が市場での地位を確立し、持続可能な成長を達成するために不可欠です。
当社の社外取締役は、会社法及び会社法施行規則の定めによる社外取締役であるとともに、以下の事項のいずれにも該当しないことを要件として選任しております。
- 当社またはその関連会社の業務執行取締役もしくは執行役またはその使用人(以下「業務執行者」という。)または、その就任前10年間において当社またはその関連会社の業務執行者であった者
- 当社の総議決権の5%以上の議決権を保有する大株主またはそれが法人・団体である場合の業務執行者である者
- 当社またはその関連会社と重要な取引関係(主要な取引先含む)がある会社またはその親会社もしくはその重要な子会社業務執行者である者
- 当社またはその関連会社の弁護士やコンサルタント等として、当社役員報酬以外に過去3年平均にて1,000万円以上の報酬その他財産上の利益を受け取っている者。またはそれが法人・団体である場合、当該法人・団体の連結売上高の2%以上を当社またはその関連会社からの受取が占める法人・団体等の業務執行者である者
- 当社またはその関連会社の会計監査人または当該会計監査人の社員等である者
- 当社またはその関連会社から過去3年平均にて年間1,000万円または当該法人・団体等の年間総費用の30%のいずれか大きい額を超える寄附金等を受けている法人・団体等の業務執行者である者
- 上記2から6について過去5年間において該当する者
- 配偶者または三親等以内の親族が上記1から6までのいずれかに該当する者
- 当社またはその関連会社から取締役を受け入れている会社またはその親会社もしくはその子会社等の業務執行者である者。
- 社外取締役としての在任期間が通算で10年間を経過している者
- その他、当社の一般株主全体との間で上記1から10までで考慮されている事由以外の事情で恒常的に実質的な利益相反が生じるおそれがある者
当社は、経営トップである社長執行役員の選定を最も重要な意思決定事項のひとつとして認識しており、指名委員会内で次期社長候補及び次期経営層について、継続して意見交換を実施しております。次世代の経営層の育成に向けて、当社では経営者に求められる要件を以下の4つに定めています。
企業使命の具現化力【Vision】
進化適合力【Design】
誠実一筋【Integrity】
企業全体のベクトル結合力【Communication】
当社では、執行役員だけではなく、当社の最小組織体であるユニットを率いるユニットマネージャー以上は、それぞれが率いる組織体を会社と見立てて運営し、上記4要件を満たすことを求めています。また、年に一度、統括部長以上については、360度評価を実施することで4要件についての客観的な評価・フィードバックを受け、各要件に対する能力向上につなげています。
取締役会の実効性評価につきましては、2016年度に第三者機関による評価を実施した上で、その結果を踏まえて自己評価を実施いたしました。 翌年度以降、監査等委員会が取締役会の実効性に関する評価を行い、取締役会でその評価結果について討議しております。2024年3月期の実効性の評価につきましては、第三者機関による評価を実施し、その結果を2024年3月の取締役会にて議論いたしました。実効性に関する分析と評価の結果につきましては、弊社コーポレートサイトに掲載しておりますコーポレートガバナンス報告書をご覧下さい。
また、代表取締役の諮問機関として取締役執行役員および執行役員を中心に構成され、会社経営にかかわる重要事項を協議する「経営会議」においても、取締役会同様、毎年実効性評価を実施しております。実効性評価の結果は、経営会議における意見交換を経て課題を共通認識化することで、翌年度以降の会議体運営の改善等に活かされています。
当社の役員報酬は、基本報酬、利益連動金銭報酬、株式報酬で構成され、基本報酬については、役位、業績、他社水準および従業員水準等を考慮して個人別に設定し、年額で決定した基本報酬を12分割して毎月同額を支給しております。
利益連動金銭報酬につきましては、利益連動金銭報酬を費用計上した後の「親会社株式に帰属する当期純利益」が10億円以上の場合に当社の対象取締役(監査等委員であるものおよび社外取締役をのぞく)に対して支給するものとし、「親会社株主に帰属する当期純利益」に、あらかじめ定められた支給率を乗じ代表取締役社長への支給額を算出します。次にそれ以外の各対象取締役への支給額につきましては、代表取締役社長への個別支給額にあらかじめ定められた役位別計数を乗じて算出いたします。各対象取締役への支給は、株主総会の日以後1か月以内に支給することとしております。ただし、支給総額は100百万円を限度としております。
なお、当社取締役(監査等委員を除く)への報酬は、上記の基本報酬、利益連動金銭報酬を合わせまして、年額320百万円以内となっております。
株式報酬につきましては、当社の対象取締役に当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主の皆様と一層の価値共有を進めることを目的として譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。支給につきましては、継続して当社の取締役会が定める地位にあることを条件に取締役会にて支給額、支給時期を決定いたします。譲渡制限は当社の取締役会が定める地位を退任する時点の直後に解除されます。なお、支給総額は、上記取締役への報酬の年額の320百万円以内とは別枠とし、年額60百万円以内、発行又は処分する普通株式の総数は年96,000株以内となっております。
代表取締役社長の報酬(株式報酬除く)
利益変動型金銭報酬の
役位別係数
役位 |
役位係数 |
代表取締役 会長 |
0.9 |
代表取締役社長 社長執行役員 |
1.0 |
取締役 副社長執行役員 |
0.8 |
取締役 専務執行役員 |
0.7 |
取締役 常務執行役員 |
0.6 |
取締役 執行役員 |
0.4 |
当社は、投資株式について、もっぱら株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを目的として保有する株式を純投資目的である投資株式、それ以外の株式を純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)に区分しています。
なお、2023年度末時点で純投資目的である投資株式は保有していません。
保有方針及び保有の合理性を検証する方法
当社は、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式について、当該株式が事業を運営、展開、持続的な成長をさせていく上で、グループ外の株式を継続保有することが戦略的に最良であり、かつ中長期的な企業価値向上に資すると判断された場合について、保有していく方針です。
個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
継続保有の検証内容としては、個別の銘柄ごとに保有目的が適切か、継続保有する意義があるか、保有することで戦略的意義が得られているか等を検証いたします。また、前事業年度末日において、その株式から得られる便益(当社利益への寄与度、受取配当金等)が資本コストを上回っているか、等を確認いたします。上記検証を年1回取締役会において行い、継続保有について総合的に判断いたします。
政策保有株式の純資産比率については、中期経営計画サステナV(バリュー)期間中に10.0%未満の水準への縮減を図る目標を設定しました。
2024年3月期末時点で11.4%となっています。
当社の定款をご覧いただけます。
-
定款(2023年10月1日改正) (219KB)