統合報告書2026 トップメッセージ

代表取締役会長CEOメッセージ

CEO・COOによる新経営体制で
持続的成長企業への転換を加速

 

 

代表取締役会長CEO

高島 幸一

求心力と遠心力を働かせる新経営体制がスタート

当社は2026年6月の株主総会・取締役会を経て、山本社長と私による新経営体制に移行しました。当社が目指す「堅実経営」から「持続的成長企業」への転換の準備が整いましたので、CEO・COOによる経営体制で役割分担をしながら、持続的成長企業への転換を軌道に乗せ、さらなる加速を目指してまいります。
「堅実経営」から「持続的成長企業」へのシフトは、2025年に創業110周年を迎えた当社の歴史の中で重要な転換点であり、ここに至る成長にはいくつかのポイントがあります。「事業を通じて社会に貢献する」企業使命や「誠実一筋」のDNAは変えず、常に時代の変化を捉え、自らを革新し続ける「進化適合」を成し遂げてきた一方、事業は時代に合わせて変革していくことで成長してきました。
しかし、私が社長に就任した2004年、当社は持続的成長が見えない厳しい状況でした。次の50年、100年も成長できる会社にすることが第一のテーマになり、当時はまだ一般的ではなかった「サステナビリティ」「持続的成長」という言葉を社内に発信し、先進商社になる目標を打ち出しました。企業使命の前提である「オリジナルな発想を活かし、高島グループならではの方法で社会にアプローチし、事業を通じて社会に貢献する」という存在価値を明確にしたかったのです。
そのために、例えば、「攻めの型」「守りの型」「育成の型」という3つの型を示しました。「攻めの型」は当社ならではの機能、ソリューションの創出です。「守りの型」は業務の属人化を解消して、組織を継続させること。それぞれの部署で共同管理・運営する仕組みをつくることで業務の平準化と効率化が進みました。「育成の型」は現場のユニットから各事業のトップに至るまで、自分の後継者を育てることが最も重要な仕事であるという考えの浸透です。
こうした様々な取り組みによりサステナビリティ領域における先進商社を目指してきましたが、成長を加速させる起点になったのが、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準適合に向けた挑戦です。これを経営の最優先課題に位置づけ、前中期経営計画「サステナV(バリュー)」では「堅実経営から持続的成長へのシフト」を掲げ、戦略的取り組みを積極的に実行しました。
この取り組みの中で特に重視したのが、M&Aを含む事業投資と人財投資です。事業投資では既存事業の成長に注力しつつ、事業を飛躍させるM&Aをスピード感のある意思決定で実行してきました。また、成長を支える人財の採用と育成、稼ぐ人財への育成は、持続的成長を実現していくための最重要経営課題として認識しており、人財への戦略投資を積極的に行っています。
これらの取り組みにより、M&Aで加わった会社も含めてグループ全体の社員数が急速に増加しました。新たなグループ会社や人財に対して当社が培ってきたDNAを浸透させる求心力を働かせていくことが重要です。また、成長を拡大していく遠心力も働かせていかなければなりません。求心力と遠心力の両方を働かせて会社を前に進めていくのが今回の新経営体制です。
私は創業家ということもあり、過去22年間の経営経験から会社にとって非常に重要なDNAは誰よりもよく分かっているつもりです。企業理念や企業使命といった求心力を働かせることについては、自ら前に出て積極的に理念浸透を図っていくことが私の役割です。また、対外的な「顔」としての役割も重視しており、IR等の活動も私が前面に出ていきたいと思っています。
もう一つの遠心力を働かせる部分については山本新社長に期待しています。グループ全体で、どうやって遠心力を働かせるか。新規事業の開発、新規顧客の開拓など、これらをスピーディーに実行していく必要があります。これからの変化は現場起点で起きます。現場の課題や可能性を遠心力につなげていくことが重要であり、私より現場に近い立場にいた人間がCOOになることによって、スピーディーに事業改革、組織改革、人財開発を進めてもらいたいと思っています。
また、新経営体制にはもう一つ大きな意味があります。50年、100年、その先まで続く企業を目指すならば、持続的に後継者を輩出できる体制が必要です。指名委員会で10年近い時間をかけて後継者プログラムの議論を尽くしてきましたが、今回の新経営体制によりその体制が徐々に整いつつあり、一歩前に進んだことを示せたのは大きな成果だと捉えています。私が社長であったこともあり「創業家以外から社長になれるの?」と思っていた社員も「社長になれるんだ」と実感し、経営者を目指す社員が増えることを期待しています。

不変の哲学「サステナビリティ」で持続的成長企業への飛躍を果たす

高島グループは、私が社長に就任した2004年から「サステナビリティ」を経営と事業成長の軸に据え、社会ニーズに対応する事業を開拓し、その中で存在価値を出し続けてきました。サステナビリティには環境面の意味もありますが、私は企業や人が存続していくうえでの哲学だと考えています。「持続可能な会社・個人にとって持続可能な成長とは何か」を22年前に考えたとき「サステナの先進商社になろう」というテーマが浮かびました。サステナブルな領域で事業を展開すれば、その事業自体もサステナブルになるだろう。その中で存在価値を出せば、企業使命にも合致するだろう。この考えはこれからも不変であり、当社グループは「サステナの先進商社」として「持続的成長企業」への道を邁進していきます。
「堅実経営」から「持続的成長企業」への転換を図る多岐にわたる戦略的取り組みにより、当社の「稼ぐ力」は着実に成長しています。EBITDAは5年連続で拡大し、売上総利益・売上総利益率も向上し続けています。人財戦略においても、従業員一人ひとりが「自身が自身の経営者」としてキャリアをプランニングし、社会に高い価値を提供し続ける「キャリア型人財」の考え方が浸透しはじめています。この考え方がグループ全社に浸透し、実践する社員が増えていけば、事業を推進するリーダーや後継経営者が持続的に輩出できると期待しています。
こうした成長の芽が出はじめる中、成長を軌道に乗せる3年間と位置づけた中期経営計画2028「サステナ +スパイラル(サステナ ポジティブスパイラル)」を策定しました。これまで実行してきた戦略的取り組みによる利益貢献を進め、投資リターンが次の投資を生む「持続的好循環(サステナ+スパイラル)」を創出していきます。持続的好循環を創出する3つの基本方針として、①資本コストと企業価値を意識した経営の推進、②投資の好循環の創出、③稼ぐ人財の持続的輩出を掲げ、「省力化」「省資源化」「再エネ化」の3つの戦略テーマに焦点を絞り、資源投入などを迅速に実行して持続的好循環を実現していきます。

持続的好循環を創出し、事業を通じて社会に貢献

創業者の高島幸太吉には「上場することを信用力の基礎に置きたい」という強い思いがあり、当社は1949年の東京証券取引所の開設から上場を果たしてきました。これは当社の経営姿勢の重要なポイントであり、ステークホルダーの皆様に向き合い、そのご期待に応え、事業を通じて社会の持続的成長に貢献していくことが当社グループの使命であると考えてきました。
当社グループはサステナ社会に貢献するサステナの先進商社として、持続的成長企業への飛躍を果たしてまいります。株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様には、今後も変わらぬご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長COOメッセージ

持続的好循環で成長を軌道に乗せ、新中期経営計画2028

「サステナ +スパイラル(サステナ ポジティブスパイラル)」が始動
―投資を「好循環」に変え、確実な成長軌道へ。

 

 

代表取締役社長COO

山本 明

これまでの経営を引き継ぎ、機能商社として一大飛躍へ

2026年6月23日の株主総会・取締役会を経て、社長に就任した山本です。これまでは建材事業本部の事業本部長として、広く当社の建材事業に関わってきました。建材事業では2015年の杭偽装問題に端を発した建設業法の厳格化に伴い、多くの建材販社が工事から撤退する中、当社は本格的に工事請負に舵を切りました。取引先がその必要性を感じながらも導入のハードルが高い機能を提供することで、お客様にとって高い付加価値の創出を目指すのが、当社としての戦略の要と考えています。実質的な施工機能を建材部門の中心に据え、その周囲での加工や物流も当社が提供する機能として捉え、事業本部の強化を進めました。この機能強化が近年のM&Aにつながり、建材事業本部としての収益基盤が形成されつつあると考えています。
今回、建材事業本部長から社長に就任したわけですが、グループ全体の経営トップとして果たすべき役割は、まさにグループ経営としてのシナジーの最大化であり、経営資源の最適化を進め、事業の持続的成長を牽引することに尽きると考えています。再現性のある稼ぐ力をつけることであり、それは機能商社になりきることだと思っています。
機能商社とは、単なる中間流通市場の担い手にとどまらず、ターゲット市場においてお客様が必要な機能・ソリューションを提供することで、高い付加価値を提供し、結果的に高い収益性を確保する高島独自のビジネスモデルです。
私は建材事業本部の責任者のときから、取締役として高島会長と共にサステナブル経営や機能強化、稼ぐ人財の輩出などに取り組んできました。新社長としてこれまでの経営を引き継ぎ、持続的好循環を創出して、機能商社として一大飛躍するステージに高島グループを牽引してまいります。

サステナVの目標は未達成も、稼ぐ力は進展

2025年度の業績は、株式会社DG Takashimaに関連する損失計上等の影響があり、減収減益となりました。EBITDAは5年連続で拡大しており、前期比7.2%増の40億円に達し、本業の稼ぐ力は引き続き進展しました。セグメント別の業績では、建材と電子・デバイスが減収減益という残念な結果になりましたが、産業資材は利益率の改善などで増益となりました。2025年度は当社の持続的成長への転換に向けて種を蒔く期間として位置づけた、前中期経営計画「サステナV(バリュー)」(以下、前中計)の最終年度でもあり、売上高1,100億円、営業利益26億円、当期純利益19億円、ROE8%以上、ROIC6%以上を目標に掲げていましたが、結果として未達成となりました。これは、本業利益の伸び悩みや、投資に対するリターンが追いつかなかったことが主な要因であると認識しています。
前中計では、機能強化を進めるために毎年のようにM&Aを実行したほか、産業資材事業本部は高島インダストリーズ株式会社をヘッドクォーターとして独立させるとともに、建材事業本部の組織改編を行うなどの取り組みを急速に進めた結果、内部体制の構築や投資モニタリングの整備が追いつかず、脆弱な部分を露呈させることになりました。しかし、こうした挑戦を躊躇していては成長を遂げることはできません。スピード感のある実行に伴う課題を克服しながら挑戦を続けていきたいと考えています。
M&Aでグループに加わった4社は、それぞれに個性があり、一定の成果を上げていますが、会計上はのれんの償却費が利益を圧迫している状況もあり、グループ決算における利益の貢献という意味では、まだ大きな成果が出たとはいえない状況です。この3年間でM&Aを実行した4社と、それ以前にグループ化したハイランド、タクセル、レストを含めた7社が持つ機能と、高島本体の事業部門がそれぞれの機能をどのように取り込んで、どのように発展させていくのかが課題であると捉えています。しかしながら、各社が提供する機能にはキャパシティという限界がありますから、そこを見極めながら伸長させていくことが不可欠だと考えています。

求心力と遠心力で好循環を創出する新中期経営計画2028

2026年度を初年度とする、3年間の新中期経営計画2028「サステナ +スパイラル(サステナ ポジティブスパイラル)」(以下、新中計)は、これまで実行した戦略的取り組みによる利益貢献を進め、投資によるリターンが次のリターンが次の投資を生む「持続的好循環(サステナ +スパイラル)」を創出することで、機能商社としての一大飛躍に向けた成長を軌道に乗せるために策定しました。拡大したグループ会社全体に当社のDNAを浸透させる求心力。事業投資で出はじめた芽を伸ばしていく遠心力。ポジティブスパイラルの求心力と遠心力で「事業を通じて社会に貢献する」力をより強固なものにし、お客様のソリューションパートナーとしてサステナ社会の構築に貢献していきます。
また、前中計を含むこれまでの中期経営計画の前提として、当社はビジネスの質を大きく転換しようとしており、従来の量を追求するビジネスモデルは、もう通用しないと考えています。量を売らずに利益を得る「機能商社型」ビジネスモデルは、当社が一貫して目指してきたサステナ社会の構築に貢献するビジネスであると改めて確信し、ビジネスの質の転換を進めています。このビジネスの質の転換は当社が常に追求してきたテーマであり、中期経営計画をはじめとする当社の戦略のベースを構成する重要な要素の一つになっています。
新中計では、持続的好循環を創出する3つの基本方針として、①資本コストと企業価値を意識した経営の推進、②投資の好循環の創出、③稼ぐ人財の持続的輩出を掲げています。当社における「資本コストと企業価値を意識した経営の推進」の要点は、事業推進の軸足を商品軸からマーケット軸に変えていくことです。事業ポートフォリオの変革は、マーケットの社会課題と向き合う形で柔軟に変化させていきます。商品軸でポートフォリオを組み、戦略を立てていた従来の事業の進め方を、エンドユーザーを意識しながらマーケットに向き合う形に変えていくことが、結果的に資本コストと企業価値を高めることになると考えています。
「投資の好循環の創出」は、機能強化の問題であり、キャパシティとの戦いです。出来上がった商品の「量」を売るビジネスでは、10個売るのも100個売るのもその手間は大きくは変わりません。企画や設計、加工や施工、物流といったプロセスを組み上げて商品やサービスにする機能には、キャパシティという課題があります。投資の好循環を実現していくには、このキャパシティを上げていくことが不可欠です。グループシナジーの拡大やM&Aを含む100億円規模の戦略投資の継続で、機能のキャパシティを増やし、機能の領域を拡張し、機能のエリアを拡大していきます。
「稼ぐ人財の持続的輩出」は商社にとって最重要のテーマです。商社にとって最大の財産は人であり、最大のコストも人です。一人ひとりの生産性の向上が業績に直結するのが商社の構造です。重要なのはスーパーセールスマンの育成ではなく、稼ぐことができる人財の持続的輩出です。稼げる戦略と稼げる組織のもとで、勝ち筋に沿って稼げる人財が持続的に輩出される体制を整える。その上で、一人ひとりが勝つための戦略テーマを十分に咀嚼し、腹落ちさせる。そして、結果の出る努力をさせることができたかどうかが、稼ぐ人財の持続的輩出につながると考えています。

新中計では、この稼ぐ人財がビジネスで勝ち進んでいくための戦略テーマを3つ定めました。前中計で定めた戦略テーマである「省力化」「省エネ化」から、「省力化」「省資源化」「再エネ化」の3つの戦略テーマに進化させ、機能強化による現場力の向上を掛け合わせることで、社会課題への適合とサステナ社会の構築をさらに推し進めていきます。「省力化」は耐火・耐震等に優れた高機能建材、省力化工法、カスタム物流資材、電子基板実装・アセンブリ、「省資源化」は断熱材、リサイクル資材、省エネデバイス、「再エネ化」は太陽光パネル、蓄電システム、EV関連商材に注力し、それぞれの事業化を目指していきます。

機動力に磨きをかけ企業価値を向上

「高島の独自のポジション、強みは何か」という質問をいただくことがあります。3つの事業本部が向き合う業界が異なるため、総合的な強みを説明することは難しいのですが、いずれの事業本部においても機能商社としての機動力があり、決断と実行の速さは高島の強みであると思っています。長い歴史の中で構築されたネットワークや信用力という強みを背景に持っていますが、歴史は時として機動力を阻害しかねません。その点、当社は長い歴史を持ちながらも、動きの速さには自信があり、「老舗商社なのに、これだけの速さで決断できるのか」とよく言われます。これは事業の現場と経営の判断までのレスポンスの速さにあり、ここ数年で毎年のようにM&Aを実行できたのも、当社の機動力によるものです。迅速なM&Aに象徴されるように、成長エンジンにエネルギーを入れ込むスピードの速さは、変化に即応していくための最大の強みであると捉えています。
その一方で、この機動力には「考えながら走る」といった一面もあり、当然リスクをはらんでいることは認識しています。成長の機会、可能性を優先させる姿勢は変えませんが、投資モニタリングの精度などを高めながら、今後も機動力に磨きをかけていきます。
企業価値向上につきましては、営業利益率の向上、資本効率・ROEの改善、安定的かつ機動的な株主還元が財務面の課題であると捉えています。非財務面では、稼ぐ人財を輩出する体制やエンゲージメントの強化などの人的資本投資、ブランド強化、AI・DXによる業務の効率化が課題です。これまでの取り組みで成果が見られる部分もありますが、企業価値向上に向けてさらに注力していきます。
企業価値は、ステークホルダーやマーケットが判断するものであり、当社が掲げる「機能」もエンドユーザーやマーケットがその価値を認めてくれなければ、提供する意味はありません。しかも、この価値というものは普遍的なものではなく、刻一刻と変化し続けています。プロダクトアウトではなくマーケットインの発想でマーケットに目線を合わせ、マーケットが求める価値を汲み取る感度を現場から経営に至るまで磨いていきたいと思っています。

持続的成長を軌道に乗せる投資の回収と再投資を着実に実行

「堅実経営から持続的成長へのシフト」を掲げた前中計は、成長の種を蒔き、これを育てるフェーズでした。新中計は、これまで投資したものを回収し、次の再投資につなげる持続的好循環を創出するフェーズです。新社長である私に渡されたバトンは、この投資の回収と再投資を着実に進めることです。投資した事業とその機能のキャパシティを伸ばし、再投資を可能にする充分な回収を実現して再投資していくことで、持続的成長を軌道に乗せることができます。

当社は、2004年に当時の高島社長が経営を引き継いだころの、連続で赤字を計上するような厳しい状況から、2010年代は安定的に利益が出るフェーズに進み、それ以降は成長に向けた投資が可能なフェーズに入りました。現在は、投資を回収して再投資するという持続的成長に向けたフェーズに入っており、新中計を着実に達成していくことで、2030年の機能商社としての一大飛躍を実現することができると確信しています。
これからも高島グループは機能商社であることに磨きをかけ、事業を通じてサステナ社会の実現に貢献してまいります。株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様には、今後も変わらぬご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。